泣いちゃう物語『ゴンちゃん、またね。』
『ゴンちゃん、またね』あらすじ
(ネタバレありです)
作家志望の則之と柴犬のゴン。一人と一匹の笑えて、少し寂しい毎日を、まっすぐな文章と鮮やかな絵で描き出す、大人のための絵物語。(amazon)
『ゴンちゃん、またね』から教わったこと
(感想)
一年前、買い物の途中で、突然いなくなった柴犬のゴンちゃん。
毎日毎日探し回った飼い犬のゴンちゃんと思わぬ再会が出来た時、「私、ゴンちゃんの飼い主なんです!」と言いたい気持ちを、私は主人公(則之・のりゆき)のように我慢出来るだろうか。
自分の寂しかった気持ちを優先させて「わたしの犬なんです」と主張することは当然の権利だ、と思うのじゃないだろうか。ゴンの命を助け治療し、1年もの間可愛がってくれたおじいさんの気持ちをこそ、優先して考えられるだろうか。
則之のように自我を押さえられる自信はないな。スコ(飼い猫)と自分に重ね合わせて、泣いていました。
この世に自分のモノは何一つなくてすべてが一時の預かり物だ、と言うけれど、頭ではわかっていても、いざその場面になるとどうだろう。執着を手放すのは、口で言う以上に、頭がわかったふりをする以上に、ずっとずっと難しい。
一方、柴犬のゴンちゃんは、与えられた人生を健気に生きている。
人間だったら、辛い目にあった記憶や障害を受け入れることは難しくて、死にたくなるかもしれない。人間だったら、突然の出来事と、則之が迎えに来てくれないことに、負の感情だけがリフレインし、寂しくて悲しくて、人を信じることが難しくなるかもしれない。
人間だったら...
いや犬でも...
とてもとても怖かったと思う。
でも、ゴンちゃんは命の恩人であるおじいさんと仲良く暮らしつつ、則之のこともいつも愛していて忘れずにいたんだ。
傷ついた身体を受け入れている姿の、純粋で優しいゴンちゃんが本当に愛おしくて、抱きしめたくなります。
青空。
ゴンちゃんが足を引きずりながら、あの頃のように嬉しそうにボールを追う姿。
則之の優しい眼差し。
良かったね。良かったな。
鮮やかな映像が浮かんで、とても綺麗です。
則之もゴンちゃんもおじいさんも、孤独感は心の中だけにしまって、みんな偉いな。優しくて強い、雫がキラキラと光って見えるような小説です。続けて2回読んで、2回ともポロポロぽろぽろ...泣いたのでした。
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